しにたい気分ってどうしたらいいの | 現実なんてこんなもの

しにたい気分ってどうしたらいいの

 年下の君の状況は悪化するばかり。ボスはもう育てる気がないらしい。フリー契約だから、いくらでもいられるけれど、稼げないってただそれだけ。そうこうしてたら、うちの部署で預かれないかって、別の筋から相談された。残酷なようだけど、正直適性があるとは思えない。それでもわたしが教育するのが正しいの? 声の出し方から、口の利き方から、道具の手入れの仕方から、仕事に必要なセンスまで、なにもかも。

 そんなことより、仕事なんか止めさせて、主夫にするほうが100倍速い。それで、誰も幸せになれるとは思えないけど。誰も喜ぶとも、誰も納得するとも……。第一、彼は実家にいるのだ。いい年して家事手伝いの長男がいても、なにも困らない資産のある家に。それを奪い取ってきて、苦しい暮らしに閉じ込めるのが正しいとでも?

ー★ー

 寂しい日々に、元同居人君あらため独立君とは、すっかり仲良くなってしまった。情が移る、といいますか。でもこの先になんの未来がないことも、展望が無いことも、判ってる。傷が深くなる前に、リリースしなきゃ。磨き立てて、広い海に旅立てるよう。

ー★ー

 会いたい人には、なかなかあえない。今日はひさしぶりに声を聞いた。ちらっと姿を見かけた。ただそれだけ。言葉も交わせない。髪の毛一本、触れられない。きみにあいたい。きみにあいたい。ただずっと話をするだけでいい。でも、その時間はきみの子供のためのものだ。君の家族のための。そうして、わたしは、また声もなく泣く。13年前のように。