カタログギフトは選べない | 現実なんてこんなもの

カタログギフトは選べない

 走り回るのは「師」だけじゃないぜ、というわけで、なんだかやたらと慌ただしい今月。無理矢理半日休みを取って、自室をちょいちょい掃除した。棚の埃をはらって、ガスレンジを磨く。積み上がった書類やら雑誌やらチラシの束は、ひとつひとつ眺めて、いるものだけしまい込む。

 紙に埋もれた白っぽい花の表紙は、友達の結婚式でもらったカタログギフトだ。そういやすっかり忘れてた。申し込み期限はまだだったよね……と思いつつ、ページをめくる。どれかに決めてハガキを出せば、このカタログだって片付けられる。ええと、ええと、どれにしよう。悩みはじめて1時間。だんだん、かなしくなってきた。

 なんとなれば、どれも一長一短で、選べないんだ。ひとつだけなんて。どれもそれなりに魅力的で、でも、他の何かを捨ててまで、欲しいものじゃない。そうしていまだに独身の女に、なにが決められるというだろう。

 今日のところは時間切れ。とりあえず、カタログは放りだして眠りにつくよ。