ビールとソーセージで満たされる秋 | 現実なんてこんなもの

ビールとソーセージで満たされる秋

 もぅ向いてない、やめてしまおう。
 と、煮詰まった佳境の現場を後に、朝の首都高にのって成田へ。10日も現場を離れたら、戻ってきたとき復帰するのが大変だろうなぁ、とは思うものの、これもまた仕事、と無理矢理自分をいいくるめて飛行機に乗る。旅の仲間はみんなで6人。それでも、日本語勢力がだんだん弱まってくるころ、ようやく深い眠りにつく。みんなごめん。いなくてごめん。

 短期間の間だから、しょうがないよ。みんなでフォローするから、と云われつつ、釈然としない気持ちが残る。別の仕事で一定期間チームを抜けるのは、わたしの落ち度なのだろうか。頭を下げて、迷惑を謝りつつ、よりいっそう気を使わなくちゃならないもの? 毎日胃薬と眠れる薬と目覚める薬をかじりつつ、いったいなにをしているのだろう。どうしてそこにいるのだろう。

 ここにいるのは、もう今年で最後。そう思いながら、異国の地に立つ。一日はたらく。日本のみんなは、きつい締め切りに向かって進んでる。わたしにできることは、胃をいためる他にはあまり、ない。むろん現場にいたって、それは変わらないけど、少なくともみんなの怨嗟の声を聞くことはできる。力及ばずごめん。みんなたいへんでごめん。

 もう帰りたくない。もう止めよう。もう戻れない。そう思いながら、塩辛いハムをビールでなだめて明日に備える。10月の夜。