長電話は好きですか | 現実なんてこんなもの

長電話は好きですか

 年下の彼氏くんには、ふたつ違いの同居人がいる。同性なのに、これが仲が良くて。あまりに気になったので、なるべく間に割って入り、よく話を聞いて、こちらもだいぶ親しくなった。日曜日に待ち合わせて、三人で鍋をつついたり、呑みにいったりするのは悪くなかった。彼氏くんが忙しくて会えないときに、遊びにいくのだって害はないと思ってた。

 時は流れて、気づいたら双方から「おやすみなさいの電話」がくるようになった。仕事柄、帰るのはたいてい25時過ぎになるのだが、それから順番に、ケータイが鳴る。彼氏くんとひととおり話して、おやすみって切って、ごろりと転がると次のベル。バトンでも渡してるんじゃないかといわんばかりのタイミング。そして、さらに他愛もない話が続く。

 それはともかく、自他ともに認める長電話好きとしては、まるでロケット鉛筆の芯を繰り出すみたいに着電がつづくと、なかなか眠れないらしい。ひとつの芯がすり減って、交替するまでに約30分。ふたつめの芯は、たいてい粘り強くて1時間はがんばる。

 ぐったり疲れて枕を抱えるころ、外は新聞配達の時間に切りかわる。白んでいく空をみながら、いつまで変わらずいられるのだろう、と考えながら枕を抱えてねむらんとする。