恋してる! って云ってみたい | 現実なんてこんなもの

恋してる! って云ってみたい

 どういう因果か、語られざる恋ばかりしている。
 
 職場恋愛はおおっぴらにできないもの、とか、相手に家族がいると都合が悪いでしょ、とか、その都度理由はあるけれど、結果として公表できないことだらけ。かくして、ここ15年ばかり恋人はいないことになってる。誰に聞かれても、笑顔で首を傾げるわたし。そんなこと聞くなよ、という念をこめて。

 ごくまれに「彼氏いるんです」と答えるのは、街や店でしつこく口説かれたとき。通りすがりのおじさんに、呑みにいこうと誘われたとき。わたしを「人間・女」としてしか認識しない人に会ったときだけ、真実を明かすのだ。へんなの。

 一度くらいは、この人とおつきあいしております、と公表してみたい。きっと、ずっと先のことだけど。今の相手も、今じゃだめだ。お互いのためにならないと、みんながため息つく姿が目に浮かぶもの。